同病の方のお役に少しでも立てればいいと思いまして、私の治療の経緯のダイジェストを書いときます。もし詳しく知りたい期間がありましたら、ブログにはほぼ全日分を記録してますので、ご参照いただけると幸いです。これから治療に入られる方や今現在治療中である方の、ご好運とご快癒をお祈り申し上げます。


2014年1月中旬
午前中、家の近所の大きな病院で健康診断を受け、胸部X線で、肺にがんの疑いの影が多数みつかる。この時点では転移性か肺原発かわからない。紹介状を書いてもらい、そのまま呼吸器内科へ。
午後から呼吸器内科でCTを撮るも、午前中の胃のバリウムで、内臓の様子はよくわからないが、後腹膜リンパ、縦隔リンパ、肩のリンパも腫瘍で腫れてる模様とのこと。また肺の癌と思しき影は転移性の確率が高いとのことが知れる。がんがリンパ節までいってるんで、死を覚悟する(後に希望を持つ)。

3日後
午前中に造影剤を使ったCTを撮る。やはり、後腹膜リンパ、縦隔リンパ、肩のリンパの腫大と、肺の多発性がんの疑いが強い。まだ原発巣が分からない。MRIとPET-CTの予約をとってもらう。
午後、まずは消化器科へいき、胃カメラと大腸カメラの予約をとってもらう。その後耳鼻科へいき、ファイバースコープみたいなのを鼻の穴につっこみ、鼻と咽喉に腫瘍がないか診てもらう。病変はなし。肩に針を刺して組織を取る細胞診検査をしてもらうが、がんと確定できず。その後、泌尿器科へいき、陰嚢を触診およびエコーで診てもらう。陰嚢内に、腫瘍はなかったが、採血で腫瘍マーカーが上がってることから、「性腺外胚細胞腫瘍」の疑いが強いと告げられる。“はいさいぼうしゅよう”といわれて、肺がんかと勘違いするが、このときに、抗がん剤で治ると先生にいって貰えて、希望を持つ。

翌日
午前、MRIと胃カメラをする。胃カメラでは、胃にがんはなかったが、糜爛ができてるとのこと(死の恐怖のストレスからやと思います)。MRIでも脳への転移はなかった。昨日にカンファレンスをやってくれてて、性腺外胚細胞腫瘍の疑いが強いとのことで、認識を一致してくださる。
肩からは確定診断がつかなかったんで、縦隔鏡検査という、内視鏡みたいなので縦隔のリンパから組織を取る手術をするとのこと。腹は動脈の近くで危険やし、肺から組織をとるより縦隔鏡検査のほうがリスクや負担は小さいので。

2014年1月下旬
3日間の日程で縦隔鏡検査を受ける。すぐ退院できると思ってたら、手術が終わってすぐに化学療法を開始してくれる。腫瘍マーカーなどから予測して、生検さえとってしまえばすぐ開始できるとして、急いでくれた模様。

2014年1月下旬〜4月上旬
BEP療法を3クールと、4クール目はブレオをなくしてEP療法を1クールやる。退院。

2014年4月中旬〜下旬
造影CTやPET-CTで、化学療法後の評価をする。腫瘍マーカーが陰性化してることに感動し、感慨にふける。が、お腹と縦隔にFDG集積があり、まだがんが残ってる可能性があるため、過剰治療の可能性もあるが、化学療法を続けることになる。

2014年5月上旬〜6月下旬
TIP療法を2クールやる。骨髄抑制はまだぎりぎり余裕があったが、吐き気などの副作用にめげてしまい、主治医に泣きつく。一度退院してPET-CTなど、評価をした。腹のFDG集積は少し減少したが、縦隔の集積は著変なし。いまのままでは寛解できないかもしれないと思い知らされ、化学療法を継続する覚悟を決める。特に、縦隔の癌は手術では取れない個所にあるといわれ、寛解できなかった場合、余命はどれくらいかと先生に訊いてしまうくらいに思いつめる。末梢神経障害の症状が出始める。

2014年7月上旬〜8月上旬
TIP療法残り2クール(合計4クール)を行う。クリーンルームではなく普通の個室への隔離はあったが、ノイトロジンを使うくらいで、輸血することもなく、なんとか退院。この後にやる評価の結果にて、余程の集積がない限りは、後腹膜リンパ節郭清の手術をやると聞く。それが妥当か心配になったり、手術の症例数が少ないと聞き不安になったり、親の希望などもあり、大学病院でセカンドオピニオンを申し込む。

2014年8月中旬
PET-CT等評価をする。縦隔のFDG集積がなくなったと聞き、歓喜する。腹の集積もさらに減少したと聞く。生き残れるかもしれないと実感を持つ。

2014年8月下旬
大学病院でセカオピを受ける。後腹膜リンパ節郭清の手術の症例数が圧倒的に多いことを知り、転院する決意をする。

2014年9月下旬〜10月中旬
大学病院に転院し、後腹膜リンパ節郭清の手術を受ける。手術後、ベッドに横になる生活をしばらく送ってたら、筋力の低下などでか末梢神経障害の症状が、強くでる。薬の相性などもあり、スマホを使うのも苦労するくらい手足の不自由さが半端なくでる。取った腹の組織に、もう生きたがんはないとの分析結果となり、安堵する(もしまだ生きてるがん細胞があれば、追加でケモをやるといわれてた)。体調的には回復したんで、なんとか退院する。

2014年11月下旬
主治医の先生から神経内科の先生を紹介してもらい、その先生からリハビリの病院を紹介してもらい、週2回程度のリハビリを開始する。脳梗塞などのリハビリというのはあるらしいが、末梢神経障害(ニューロパチー)のリハビリというものが、決まったものがある訳ではなく、試行錯誤しながら試し試しやるしかないとのこと。この頃は、近所のコンビニにもたもた歩いていくのがやっとだった。がんは寛解できたが、しびれと体の不自由さが半端なくあり、喜んでる余裕がなかった。

2015年1月中旬
自転車に乗れるようになる。

2015年2月下旬
リハビリを週3回に増やす。

2015年3月下旬
健康保険のリハビリの日数制限により、週1回しかいけなくなる。

2015年8月上旬
最後のケモが終わって約丸一年、耳鳴りと手足のしびれはまだ残ってる。が、しびれの、突然に千枚通しで突き刺されるような激痛はいまはほとんどなくなってる。

2015年9月中旬
末梢神経障害も経過観察になり、リハビリの病院への通院は、月に一度のペースになる。

2015年10月上旬
術後一カ年の経過観察がクリアーできた。いままでは腫瘍マーカーを診る採血はひと月半に1回(CTは3か月に1回)やったが、採血もCTとおなじく3か月に1回のペースでええと先生にいってもらう。

2016年2月中旬
末梢神経障害の、リハビリの病院への通院が終了になる。紹介元の大学病院にまた戻って、経過だけ診てもらうことになる。

2016年8月中旬
最後のケモが終わって約丸2年。しびれは、いちばんひどいときの8割か7割か、くらいに改善してくれてるように思えます。耳鳴りは改善なし。手の不自由さは、ふだんにパソコンをよく使って、キーボードをよくタイプしてたおかげか、だいぶ改善できた。手書きの字もしっかりしてきてるし、箸で飯を食うのにも、まったく問題ない。PTPシートからも、無理なく薬を取りだせてる。歩き方が悪くなったせいか、足の巻爪が発生するようになった。私は右足親指だけVHOの巻爪矯正をやってます。爪先立ちを1セット30回を朝昼晩1セットずつやれば、まだましな気はする。髪の毛は薄いまんま。別に気にしてませんが。命が助かるんやったら髪の毛くらい生えてこんでもええわって思ってましたが、いちおうほっといても生えてきてくれてるんで、それはそれでええかって感じです。それより、運動不足で肥えたのもあるかもしれませんが、腹がでてる。後腹膜リンパ節郭清の手術した人はみんなある程度腹の筋肉とってるかもしれくて、どうしてもそうなるんかもしれません(私の想像なんで、正確な情報やない可能性ありますよ)。

2016年10月下旬
術後二カ年の経過観察がクリアーできた。今後は四カ月に一度のペースでいいとのこと(いままでは三カ月に一度のペースだった)。有休の関係もあるから、年4回が年3回になるだけでも十分ありがたく思う。精巣腫瘍の場合やったら半年にいっぺんでもいいくらいやけど、私の場合、性腺外胚細胞腫瘍やしセカンドラインまでやってるから、年3回にしとくとのことでした。

2017年1月下旬
足の巻き爪は右も左も親指にVHO巻爪矯正をやってたのですが、1年くらいで治ると聞いてたけど、治るというより、つけてる間は大丈夫という感じで、ずっとつけてないといけない感じにしか改善しませんでした。それで別の方法がないか調べてて、いまの時点では、ドクターショールの巻き爪矯正クリップが、私には合ってるみたいです。いまのところいい感じです。

2017年10月中旬
術後三カ年の経過観察がクリアーできた。経過観察の検査は半年に一度のペースでよいといってもらえる。
このがんは晩期再発も、あっても不思議ではないくらいの確率があるようです。私も含めて、みなさんも油断せずに、免疫細胞を十分に働かすことができるよう、ご無理のない生活をお送りできることを、祈っております。

2018年10月中旬
術後四カ年の経過観察がクリアーできた。

2019年10月下旬
術後五カ年の経過観察がクリアーできた。





〈腫瘍マーカーの遷移〉

2014/01/17
HCG-β:11、AFP:8630

2014/02/15
HCG-β:1.0、AFP:2020

2014/03/08
HCG-β<=0.1、AFP:117

2014/03/29
HCG-β<=0.1、AFP:11.5

2014/04/14(※BEP+EP 終了後)
HCG-β<=0.1、AFP:5.0

2014/05/02
HCG-β<=0.1、AFP:3.2

2014/06/02
HCG-β<=0.1、AFP:3.3

2014/07/01
HCG-β<=0.1、AFP:3.0

2014/08/09
HCG-β<=0.1、AFP:3.7

2014/09/05(転院後)
HCG-β<=0.1、AFP-CLIA:2.4

2014/09/19
HCG-β<=0.1、AFP-CLIA:2.4

2014/10/14
HCG-β<=0.1、AFP-CLIA:2.7

2014/11/07
HCG-β<=0.1、AFP-CLIA:2.6

2015/01/16
HCG-β<=0.1、AFP-CLIA:2.5

2015/04/10
HCG-β<=0.1、AFP-CLIA:2.6

2015/05/29
HCG-β<=0.1、AFP-CLIA:2.5

2015/07/10
HCG-β<=0.1、AFP-CLIA:2.6

2015/08/28
HCG-β<=0.1、AFP-CLIA:2.3

2015/10/02
HCG-β<=0.1、AFP-CLIA:2.6

2016/01/08
HCG-β<=0.1、AFP-CLIA:2.6

2016/04/04
HCG-β<=0.1、AFP-CLIA:2.7

2016/07/04
HCG-β<=0.1、AFP-CLIA:2.6

2016/10/24(主治医の先生の異動についていって転院)
HCG-β<=0.1、AFP:3.5(転院したんで機械が変わった影響で前回と少し変わりましたが基準値内です)

2017/02/13
HCG-β<=0.1、AFP:3.3

2017/06/12
HCG-β<=0.1、AFP:3.5

2017/10/16
HCG-β<=0.1、AFP:3.8

2018/04/16
HCG-β<=0.1、AFP:3.7

2018/10/22
HCG-β<=0.1、AFP:3.5

2019/04/15
HCG-β<=0.1、AFP:3.6

2019/10/21
HCG-β<=0.1、AFP:3.8





〈がん治療費まとめ〉

性腺外胚細胞腫瘍の治療と経過観察にいくらぐらいかかるのか不安な方もおられると思うので、私が病院・薬局の窓口で払った一部負担金を記しておきます。希少がんなので高額な医療費が必要になると思われる方もおられるかもしれませんが、精巣腫瘍の治療にかかる費用と、そう変わらないと思います。
限度額適用認定証を持っていれば、医療費が高額になっても、ある一定の限度額までしか支払わなくてもよくなりますし、入院が長引いても多数該当で、さらに限度額が下がるので、健康保険の範囲での治療ならば、べらぼうに高くなって支払えないと恐れるほどの高額にはならないと思います。私の場合でもケモをセカンドラインまでやったので、やや治療費がかかってるほうかもしれませんが、ファーストラインで寛解できる方は、もっと安くつきます。ですが、性腺外胚細胞腫瘍の場合、発見が遅れることも多いと思えますし、その分進行してる可能性が高いと思いますんで、セカンドライン以降のことも想定の範囲には入れておいたほうがいいかもしれません。ファーストラインで治療を終えるのは、それはそれでリスクがあるかもしれません。しかし長くケモをやると、末梢神経障害になる可能性も高まります。とにかく命を優先するか、再発の確率を少し高めても寛解後のQOLを保つか、トレードオフになるかもしれません。ご幸運をお祈りいたします。
種別支払った一部負担金
(外来時は薬局の薬代含む)
備考
2014 1 外来 47,960 CT、造影CT、造影MRI、胃カメラ ※入院の際、自分で希望して差額ベッド代のかかる部屋にいた。
また食事代も、ケモで食えない日以外は、差額を負担しておかずの品数が増えるサービスを利用していた。
なので入院時の医療費は、差額ベッド代のかからない部屋で標準の食事だった場合はもう少し低いと思います。
入院 108,484 縦隔鏡検査、ケモ(BEP)
2 入院 179,864 ケモ(BEP)
3 入院 192,131 ケモ(BEP)、造影CT
4 外来 35,220 PET-CT
入院 93,240 ケモ(TIP)
5 外来 7,560
入院 103,860 ケモ(TIP)
6 外来 26,290 PET-CT
入院 106,640 ケモ(TIP)、造影CT
7 入院 167,120 ケモ(TIP)
8 外来 52,420 PET-CT、造影CT
入院 57,390
9 外来 21,880 MRI、CT ※2014年8月にセカンドオピニオン(約1万円(保険外・この表の集計には含めてません))をうけ、2014年9月から大学病院に転院。

がんそのものの実質の治療終了は2014年10月。
私の場合、末梢神経障害になってしもたんで、それ以降もある程度医療費はかかってます(この表には集計していません)。
入院 91,125 後腹膜リンパ節郭清の手術
10 入院 97,378
11 外来 9,620 CT
2014年合計 1,398,182
2015 1 外来 19,290 造影CT
4 外来 17,180 CT
5 外来 3,600
7 外来 27,390 造影CT、造影MRI
8 外来 6,690
10 外来 13,350 CT
2015年合計 87,500
2016 1 外来 15,810 造影CT
4 外来 9,980 CT
7 外来 13,440 造影CT
10 外来 10,190 CT 主治医の先生が異動されたんで、ついていって大阪の病院に転院しました。
2016年合計 49,420
2017 2 外来 14,500 造影CT
6 外来 9,100 CT
10 外来 8,950 CT
2017年合計 32,550
2018 4 外来 11,690 CT、腹部エコー、精巣エコー
10 外来 11,050 CT、腹部エコー
2018年合計 22,740
2019 4 外来 14,020 造影CT
10 外来 11,050 CT、腹部エコー
2019年合計 25,070


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